ギリシャ暴動・続報【その2】 |
前回の続き。
その後、徐々に勢いは落ちてきているものの(壊す物があまり無くなった為?)アテネではポリテクニック(高等専門学校)やアテネ大学周辺などを中心に、一部地域で暴動は続いています。
特に激しかったのは8日。中心地はまるで戦場のような様子で、混乱に便乗した盗難などもあったようです。そしてこの日はシンダグマ広場の巨大クリスマスツリーが燃やされたり、国立図書館や考古学博物館までもが標的となる始末。真っ黒な煙を上げてツリーが燃えている様は、これから迎える暗いホリデーシーズンを象徴しているようでした。
9日に行われた被害者少年の葬儀が終わる頃にも、予想通りアナキスト達が暴れだし、葬儀が行われたパレオ・ファリロおよび隣のネア・スミルニ地区は騒然としていたようです。
少年・少女達による抗議も続いており、明日も集会などが開かれる予定。前回の記事でも触れたことですが、微妙な年頃の彼らは社会への不満や将来に関する不安などをどこにぶつけていいのかわからないのでしょう。アナキストに乗せられて暴走してしまう若者も多く居るのが残念でなりません。
今回の暴動の背景には国家への不満(高い失業率、若者の就職難、ユーロ通貨導入によるインフレーション、蔓延する汚職など)があり、10日に予定されていた労働組合によるデモ及びゼネストも中止要請を無視して決行。そこでも便乗して警官に向って物を投げつける人々の姿がテレビの実況中継で流れていました。
話は発端となった射殺事件に戻って、この件では事件に関与した警官2人のうち1人が傷害致死と拳銃の違法使用の罪で、もう1人が従犯で起訴されています。ちなみに彼らの弁護についたのは”セレブリティ弁護士”アレクシス・クーヤ氏。
今までに被告側は「発砲したのは身の危険を感じたからであり、あくまでも威嚇の為であった」と政党防衛を主張。不幸にも流れ弾に当たって(?)亡くなった少年への謝罪は一切無く、それどころか「少年は裕福な家庭に生まれ育ちながらも、エクサルヒア(※注)のような地域をうろついているような子だった」「通っていた有名私立校を追い出され、他の学校を転々としてた」などと主張。それが事実であったとしても、事件が起きた時に警官はそのことを知る由もなかったはずなのですが...。死者をなお攻撃し続けるような態度にも世間からの批判が高まる一方。
学校側は「少年は協調性があり、周りからも愛されている生徒だった」と声明を出しています。
少年が射殺された状況についての詳細は、これから徐々に明らかになるでしょう。銃弾が地面に跳ね返って少年に当たったのではないかという被告側の証言は、傷痕が上から下に斜めに向っているとの解剖結果により覆されたのですが、正面から当たったわけでも無いよう。銃弾にはどこかに当たったような跡が見られ、明日発表される調査結果が待たれます。
※エクサルヒア地区はアナキストや麻薬中毒者の溜まり場として有名ですが、学生が多く集まる町でもあり、普段は特別危険というわけではありません。