パスタ入りレンズ豆スープ |
私はギリシャ料理を頻繁に作るようになってかなり長いですが、ふと気付くと、以前と比べて使用する調味料が随分シンプルになっていました。
一番大きいのは、ブイヨンキューブをほとんど使わなくなったこと。もちろんギリシャ人も市販のブイヨンキューブの類を使うし、うちにも常備されてはいるんですが、料理に加える必要性を感じることが少なくなったのです。
それではギリシャ料理に本格的なスープストックを多用するかと言うと、決してそんなことはなく、素材の持つ旨味と塩だけで十分。スープや煮込みを作る時の液体に、ただの「水」を使うことに物足りなさを感じたりもしていた私ですが、実際いろいろ作ってみて、シンプルな塩だけの味付けにすっかりはまってしまいました。
パスタ入りレンズ豆スープ
今回ご紹介する料理は、そういったギリシャ料理の真髄を知って頂くのにぴったりなスープです。ギリシャでは豆の料理をよく食べますが、その多くは肉類を使っていないもの。このレンズ豆スープもそのひとつで、基本のレンズ豆スープ(注1)にヒロピテス(注2)というパスタを加えた一品です。
材料を鍋に放り込んだら、あとはじっくり煮込むだけ。他の用事をしている間に勝手に美味しく煮えてくれるので、忙しいライフスタイルにもぴったりです。唐辛子入りでポカポカ体が温まるし、豆とパスタでお腹も満足なこのスープ、寒い冬の日にいかがですか?
注1:基本的なギリシャのレンズ豆スープは、食べる時にワインビネガーを好みの量加えるのが特徴のひとつ。セロリなどは入ってないことが多いですが、我が家ではたまに入れて作っています。レンズ豆は一度茹でこぼしてから他の材料を加える人が多いですが、私のレシピではこの手順は省いています。
注2:ギリシャの平たい卵パスタ(下写真)。スタンダードなイタリアの卵パスタと違う点は、生地に使用する卵の割合が少なく、牛乳も入っていることです。麺の太さや形は地方によって少し変わってきますが、短く切ってあるものが多く、特にスープ用には正方形の細かいものをよく使います。タリアテッレで代用可。
→手作りヒロピテスのレシピ
パスタ入りレンズ豆スープ(ファケス・メ・ヒロピテス)
材料:(4人分)
レンズ豆...1カップ弱
玉ねぎ...中1/2個
ニンジン...1/3本
セロリ...葉付き小枝2~3本
ニンニク...大1片
トマト缶...1/2缶
ベイリーフ...1枚
塩...約小さじ1
オリーブオイル...大さじ2~
胡椒...適量
鷹の爪...約1本
タリアテッレ...約4玉
①レンズ豆は洗って鍋に入れる。
②玉ねぎは薄切り又は粗微塵切り、ニンジンは輪切り又は薄めのそぎ切り、セロリとニンニクは粗微塵切りにして①の鍋に加える。
私は小さなナイフを使い、鍋の上で野菜を切りながら加えていきます。
③トマトは汁ごと潰して鍋に加える。ベイリーフ、塩、水4カップも加え中火にかけ、沸騰したら火を弱める。
④灰汁をすくい、オリーブオイルを加える。蓋をして、ほとんど煮立てないように2時間~それ以上じっくり煮込む。
グラグラ煮立てると、豆の皮が剥けてしまうので注意。
⑤レンズ豆がふっくらと煮え、澱粉が溶け出して適度にトロミが付いたら胡椒、砕いた鷹の爪、必要なら塩も足して味を調える。基本のレンズ豆スープの出来上がり。この時点まで作り置き可。
鷹の爪は最初控え目に加え、1~2分煮てから味見します。
⑥食べる前にパスタを加えて煮る。タリアテッレはビニール袋に入れ、布巾などで包んで砕く。スープに加え、パスタ同士がくっつかないようすぐにかき混ぜる。必要なら湯を適量足して静かに煮、パスタが柔かくなったら出来上がり。
⑦器に盛り、好みでオリーブオイル適量を回しかける。