前回の記事で触れた、羊の腸は他の内臓を足してこんなスープになりました。
マギリッツァと呼ばれる料理で、ギリシャでは復活祭の最初の食事として食べるのが習わしになっています。
聖土曜日の深夜、人々は教会へ行ってキリストの復活を祝います。普段はあまり教会に行かなくても、この時は教会へ行くという人が結構多いようで(私達もそうですが)どこもかなりの混雑。ミサの終盤には教会の外も人々でごったがえしています。
http://jp.youtube.com/watch?v=m-WSKVV--Ws
↑ミサのクライマックスはこんな感じ。何となく大晦日を思わせる感じで、日付が変わると共にそれまでの厳かな雰囲気を破るように花火や爆竹が鳴り響き、人々のお祝いの言葉(「キリストは復活した!」)などでとても賑やかです。
教会からは聖なる火をロウソク(このまま家まで持ち帰るのは難しい為、ランタンも持参する人も多い)に貰って来、家の玄関のドア枠の上に十字を切って一家の安泰を願います。そして、断食を破る最初の食事がこのマギリッツァというスープ。復活祭のご馳走は焼いた羊というのが定番なのですが、その羊を余すところ無く使うべく臓物の料理もいろいろ食べられます。
料理は地方や家庭によって少し違ってくるものの、マギリッツァは復活祭の最初の食事として食べられることが多く、野菜やハーブをたっぷり加えてコトコト煮たモツスープは長期間の肉断ちから肉料理三昧の復活祭へのウォーミングアップに最適な一品です。
今回は計量してないのでちゃんとしたレシピは無いんですが、簡単に作り方を説明しておきますね(友人のお母さんが作ってたのを参考にしてます)。
マギリッツァ(復活祭の羊モツスープ)
材料:
仔羊の頭(好みで)
仔羊の腸(無くても可)
仔羊のモツ(肺、心臓、肝臓が繋がったもの)
オリーブオイル
葱
ディル(ミントも加えたり、代わりにフェンネルでも)
ロメインレタス
米
卵
レモン
コーンスターチ又は片栗粉(好みで)
①仔羊の頭は綺麗に洗って鍋に入れ(あれば葱などの屑野菜も)、水を加えて強火にかける。煮立ったら弱火にして2~3時間煮込み、スープストックを作る。骨から肉を外し、これは後でスープに加えてもいい。頭を使わない場合、仔羊の骨や鶏ガラでストックを取ったり、水か市販のブイヨンを使っても可。
②モツの下処理をしておく。腸はよく洗い、裏返して(こちらでは編み針を使うけど、菜箸が便利)さらによく洗う。レモンのスライスと塩を加えてよく揉み、しばらく置いて臭みを取る。再びすすぎ、水気を切って短く切る。
③他のモツは適当に切ってレモンスライスと塩を入れた水に浸け、血抜きをする。水気を切り、小さく切る。
④たっぷりの葱とハーブは刻み、ロメインレタスは縦半分に切って細切りにする。
⑤鍋にオリーブオイルを熱し、モツを炒める。葱も加え軽く炒め、ハーブとレタスも加え混ぜ、漉したストックを加え蓋をして弱火で40分~1時間ほど煮込む。
⑥少量の米を加え、米が柔かくなるまで煮る。塩、胡椒で味を調える。
⑦食べる前に卵レモンソースを加える。卵(2~3人分に1個の割合)とレモン汁をボウルに溶き、好みで水溶きコーンスターチ又は片栗粉も少し加える。スターチを入れるのはとろみをつけやすくする為と、卵を分離しにくくする為で、無くても可。
⑧熱いスープを⑦の卵液のボウルに少しずつ加えて混ぜ、卵液が温まったらこれを鍋に加え混ぜる。必要なら弱火で少し温め、味を調える。
※卵液は食べる直前に加えますが、スターチで卵の蛋白質を安定させた場合は後で温め直しても大丈夫です。
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復活祭日曜日の昼食は、羊の丸焼きが定番。
こんな風に、串に刺してグルグル回しながら何時間もかけてじっくり焼き上げます。写真は数年前に友人宅で過した時のもの。この他にも豚肉の串焼きなど、肉三昧な食事でした。
ただし、羊の丸焼きは大人数向けだし、設備も無いと出来ないんですけどね。どこの家庭でもやるわけではなく、こういう肉料理専門のレストランへ食べに行く人も多いです。
私達もここ数年はアテネの自宅で地味に復活祭を祝っているもので、外食だったり、羊や山羊肉のオーブン焼きを家で作ったりしています。
我が家の、今年の復活祭の様子は
こちらの記事をご覧ください。